校長散歩

2020.12.02

  • #授業

236 武蔵の授業9−総合講座「世界の古典に学ぶ」−

総合講座古典に学ぶの画像
活発な対話が行われました
高校1年生に開講されている「総合講座」には武蔵らしい様々な学びがあります。私も今年度、『世界の古典に学ぶ』という総合講座をやっています。『古典』は多くの人に読み継がれてきた人類の知的財産。その『古典』との対話、仲間との対話を通して、私たちが現代をいかに生きればよいかについて考えるものです。
今日取り上げた『古典』は1930年にスペインの社会学者オルテガが著した『大衆の反逆』。ファシズムが台頭しつつあった時代に出版された名著です。その抜粋部分を8名の生徒たちは事前に読み込んできたうえで、感じたことや考えたことについて、自由に対話を行いました。
今日はスペシャル・ゲストとして、私がかつて大変お世話になり、またカント研究の第一人者でもある埼玉大学名誉教授の渋谷治美(しぶや はるよし)先生にも加わっていただきました。先生のサポートもあり、2時間にわたって、思索を深める素晴らしい時間を過ごすことができました。
オルテガは人間を「選ばれた少数者」と「大衆」に分けました。前者は「自分に多くを要求し、自分の上に困難と義務を背負い込む人」であり、後者は、「自分になんら特別な要求をしない人」です。社会は本来、この両者の複雑な統一体であったと言っています。
生徒たちはやがて、それぞれの興味・関心に応じて、それぞれを生かす道を選択し、歩んでいくと思います。「選ばれた少数者」になるのか、オルテガの言うところの「大衆」になるのか。オルテガや仲間との対話を通して気づいたことが、武蔵生の将来の糧になることを願っています。