校長散歩

2020.12.07

  • #武蔵の風景

239 武蔵の文化財6 −初代根津嘉一郎理事長の思い−

根津理事長入学式式辞の画像
大講堂脇の初代根津理事長の祝辞を記した石碑
12月7日 校長散歩218でご紹介した大講堂の入り口に御影石でできた石碑があります。この石碑には、1922年に7年制の旧制武蔵高等学校が開校したときに、私財を投じて学校を創立された初代根津嘉一郎理事長が語られた入学式での祝辞が彫られています。大講堂改修に際し、2012年、この場に建てられました。
戦前のことですので、カタカナ交じりの文章ですが、読んでみると初代根津嘉一郎理事長の学校創立にかける熱い思いが伝わってきます。
すなわち、武蔵を設立しようと思ったのは、まず、何か社会国家のために尽くしたいと考えたこと。それには偉大なる人物を育てることが必要であり、そのためには理想の学校を作って理想の教育をすることが適当と考えたこと。第一回の入学生は1100余名の志願者から選抜された80名であり、その難関を突破した生徒たちは将来偉大な人物になると信じていること。そして生徒諸君に向かって最も祝福したいことは、教師陣に一木校長、山本教頭以下、立派な教育者をそろえたということ。これは金銭はもちろんだが、それだけでは容易には実現できなかったということ。だからこそ、生徒諸君は先生方の薫陶を受け、将来、政治、学問、経済の分野で社会国家のために最も有益な人物になるだろうと思うこと。そして現在63歳の自分の経験談から、年をとると物覚えが悪くなるけれど、若い時に学んだことは忘れないから、しっかり将来のための基礎を作るようにとの激励の言葉で、祝辞は結ばれます。
武蔵はまもなく百周年を迎え、次の百年に踏み出します。創立者の武蔵にかける思いは、今も脈々と受け継がれています。