校長挨拶
「新生武蔵」のために
杉山 剛士
武蔵のホームぺージをご覧いただき、有難うございます。
2020年から世界中を襲った新型コロナウイルスのパンデミックに直面し、今私たちが生きている時代が、グローバルなつながりの中で、まさに先行き不透明で解なき時代であることを、痛感しています。
1922年に日本で最初の私立旧制7年制高校として設立した武蔵は、2022年に創立百周年を迎え、次の百年に踏み出します。果たして、これからの先行き不透明で解なき時代を乗り越えていくためには、どのような人間が必要とされるのでしょうか。
武蔵は創立以来、建学の理念として「三理想」を高く掲げてきました。この「三理想」にこそ、こうした時代を乗り越え、自他の幸せを実現する鍵があるように思います。とりわけ、「三理想」の一つである「自ら調べ自ら考える力ある人物」に示された「自調自考のエンジン」を、成長途上である10代の時期に装着できるかは、その後の人生を決定づけると思います。
私は2019年4月に校長として着任しました。卒業以来43年ぶりに戻ってきた母校には、自然豊かな環境、学問を大切にする風土、少人数による対話の尊重、それらの根底に脈々と流れる「自調自考」の精神など、武蔵の良さが残っていました。生徒の好奇心を刺激し、仲間同士の笑顔が溢れる「わくわく・わいわい」という武蔵らしい学びは、少しも変わりありませんでした。
一方で、その良さを大切にするためには、慢心することなく進化し続けることが必要です。そこで、創立百周年を機に、次の百年に踏み出すために、「武蔵の良さを大切にしつつ、さらに進化する」ことをそのねらいとする「新生武蔵」の旗を掲げました。
進化の具体例としては、進路希望の実現、さらなるグローバル化の推進、武蔵の本物教育と最新のICT教育との融合などがあります。教職員一同力を合わせ、次の百年に向け、武蔵をますます素晴らしい学校にしていきたいと思います。
その結果、世界の様々な分野で、先行き不透明で解なき時代を切り拓くために、真に信頼され尊敬される「独創的で柔軟なリーダー」を育てることができたら、こんなに嬉しいことはありません。
そうした歴史の巡り合わせで校長として母校に戻ってきたことを天命ととらえ、「新生武蔵」のために、誠心誠意務めてまいりたいと存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。