校長散歩

2020.11.16

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226 武蔵の授業7 —総合講座「働くOBの話を聞こう」−

鈴木さん講演会の画像
総合講座での様子
武蔵の高1が学ぶ総合講座には、様々な種類のものが開講されています。その中の一つ「働くOBの話を聞こう」では、比較的若い武蔵OBに、仕事全般のこと、現職までの過程や業界の事情、自身の学生時代などを話していただいています。また、状況が許せば例年、職場見学もさせていただている講座です。
11月13日、そのプログラムの一環として、「日本漁業認証サポート」代表の鈴木允さん(73期)に来ていただきました。
鈴木さんは、私が校長になってからもっともお会いしたかったOBの一人です。というのも、鈴木さんにはすでに「学校案内」や校長散歩172でご紹介した「将来可視化プロジェクト」など様々な機会で協力いただいていますが、その内容をみると、鈴木さんの生き方に共感できる部分が大きかったからです。
鈴木さんは、現在、魚の乱獲を防ぎ、持続可能な水産物の利用を目指し、「日本漁業認証サポート」という事業名で漁業に従事する人たちの支援をされています。
武蔵在学中は中国での国外研修やナホトカ号重油流出事故のボランティア活動など、様々なことにチャレンジされていました。京都大学在学中には一年間の漁師生活。さらに大学卒業後は、築地の魚河岸に飛び込んで、現場を体感します。その後、再び大学に戻り、東大の大学院で学んだあと、国際的な環境団体に入り、現在に至ります。
講座では、これまでの体験とともに、現在取り組もうとしている『おさかな小学校』の話もされました。これは、漁業の現場と各家庭をつなぎ、煮干しやいかなども送付しつつ、魚のことや今後の漁業のありかたなどについて子供たちにオンラインで学んでもらおうというものだそうです。
魯迅の小説『故郷』に、「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」という有名な言葉があります。私は「道なき道をゆく」鈴木さんの生き方を見ていると、この言葉を思い出します。武蔵生の一つのキャリアモデルとして、ぜひ頑張ってほしいと思います。
※武蔵HP上の「卒業生が語る学びの土壌」でも、4年前に梶取前校長との対談で、武蔵在学中の様々なエピソードも披露されています。ぜひご覧になってください。