校長散歩

2023.12.22

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581 木曜会 ー 河東哲夫 さん講演会「ウクライナ戦争と世界パラダイムの変化・その中の日本」ー

講演の様子
12月14日夜、神保町の学士会館を会場に、高校同窓会が主催する「木曜会」が開催されました。「木曜会」は、武蔵卒業生の講演会で、同窓生を対象に木曜日に開催されることからこの名前がついています。
この日の講師は元外交官の 河東哲夫 さん(40期卒)。河東さんは長く外交官として活躍され、ウズベキスタン、タジキスタン大使を歴任。現在は『ニューズウィーク日本版(Newsweek Japan)』のコラムニストとして、ロシア情勢をはじめ国際情勢分析の専門家として活躍。『ワルの外交』『日本がウクライナになる日』など著書も多数出されています。
この日の演題は「ウクライナ戦争と世界パラダイムの変化・その中の日本」。同窓会のご厚意で現役生にも門戸を開いていただき、この日は先輩方に混じって中1から高3まで57名の武蔵生が参加しました。
講演は、世界が直面しているウクライナ戦争、ガザ戦争の見通しや中国の台湾侵攻の可能性の話題から始まり、「当面第三次世界大戦はないが、『世界大乱』はあり得る」と話されました。さらに、河東さんが様々な地域の外交官として35年間体験されてきたことを踏まえ、「世界の無政府化、先進国の方向性喪失、近代の曲がり角」と言う状況の中で、今こそ、日本の立ち位置を見つめ直すことの必要性を説かれました。
「日本にはPublicという考え方がないから、個人主義はエゴイズム、引きこもりになる」「日本では、政府と人間の関係が未熟」という指摘は、長年の海外体験を踏まえているだけに説得力がありました。最後に現役生徒に対して、「自由を得るためにはまず自分の収入と地位を確保しなさい。その上で、他者(Public)のことも考えなさい」とのメッセ-ジをいただきました。これからの日本人としての在り方を示唆してくれたと思います。その後、多くの高中生の質問にも丁寧に答えていただきました。
在校生諸君にとって、有意義な時間でした。それぞれの未来にいかしてほしいと思います。河東さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。