校長散歩

2023.12.25

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583 iGEM世界大会 優勝報告

LEGOでできた歴代優勝校の名前が刻まれた優勝トロフィーを持って校長室での記念撮影
11月2日から5日にかけて、フランス・パリで開かれたiGEM(The International Genetically Engineered Machine competition)の世界大会で、見事優勝を果たした「Japan-United」の代表を務めた高校2年生の大竹君が、優勝報告に来てくれました。
この大会は、合成生物学分野の研究アイデアや成果を世界各国の学生が競うもので、 大学院生部門、大学生部門、高校生部門から構成。そのうちの高校生部門での優勝(Grand Prize)となりました。今回日本から参加した「Japan-United」は大竹君を代表とする、全国各地の公立・私立の高校生など23名から構成されるチーム。世界の応募126チームのうち、ファイナリストに残った2チームの1つとしてパリでプレゼンを行い、中国チームを抑えて、栄誉に輝きました。日本のチームが優勝するのは、すべての部門で初めてという快挙です。
研究テーマは「抗うつ成分の生産」。クロセチン、クロシン、ピクロクロシンといった抗うつ作用をもつ物質がアヤメ科の花きであるサフランに含まれることから、当初、サフランの関連遺伝子を導入した大腸菌で生産させ、抽出しようという事業計画を立てたとのこと。ただコスト面や実用化の可能性などの点から方向転換し、これら物質を生産した大腸菌をそのまま食品として摂取するという事業計画に変更。1年がかりで研究を進めたのことです。
メンバーはSNSで集めたとのこと。みな合成生物学やバイオテクノロジーに興味を持っている生徒たち。立教大学理学部生命理学科の 末次正幸 教授をはじめ、多くの研究者・研究機関からのアドバイスとともに、様々な団体からの助成金を集めての研究だったそうです。
研究の専門性やレベルの高さもさることながら、研究資金を獲得せんとする起業家マインド、さらに学校の枠を大きく超えたネットワークの形成など、これまでの高校生の研究活動を大きく超えており、その成果がこのような形で認められたことは素晴らしいと思います。
将来の抱負を聞くと、引き続き、生物の研究を進めながら、「自分で研究所を持ちたい」との大きな夢を語ってくれました。
今回は「抗うつ成分の生産」というテーマでしたが、「何のために研究をするのか」ということを問いつづけ、人類の発展のために貢献してほしいと思います。将来を楽しみにしています。