校長散歩

2024.01.11

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584 国連特別セミナー

Zoomでのセッションの様子
12月21日、リモートによる「国連特別セミナー」が開催されました。これは国連や世界がリアルタイムに直面している課題に対し、現役の国連職員の方からお話を伺い、対話をしようという試みです。
国際理解教育の分野で研究を進められている 田中 義郎 先生(桜美林大学副学長)から、インド出身のAmbassador& Dr.である Ramu Damodaran さんをご紹介いただき、このセミナーが実現しました。
Damodaranさんはインド出身の外交官で国連に30年以上務められ、2011年から2021年までは国連総会情報委員会の事務局長を務められたとのこと。お忙しい中、夜遅くのニューヨークからのリモート参加となりました。対話はすべて英語。中1から高3まで、国連の現在に関心をもった希望者11名の生徒が参加しました。
セミナーのテーマは「国連で今何が起きているのか?-SDGsや紛争解決問題を含めて-」。田中先生の進行のもと、まずDamodaranさんから基調となるお話がありました。
国連の役割について、「人間の尊厳(human dignity)」という言葉がキーワードとして何度も語られました。国連は文字通り国(nations)の集まりであるが、国家は人(nations is people)であり、国際協力は人間中心(human-centered)でなければならない。国を超えていかに「人間の尊厳」が追究できるか、近年ではその共通目標としてのSDGsを実現できるかの大切さを語っていただきました。
さらに、国連には、多くの国の大使が集まり直接対話ができる「舞台(stage)としての国連」と、問題解決のために役を演ずる「主体(actor)としての国連」があるという話も印象的でした。
Damodaranさんからのお話のあと、生徒たちとの質疑応答がなされました。「国連は戦争を防げるか」「安全保障理事会の課題と今後の方向」「自分たちに出来ること」「核兵器の問題と国連」「朝鮮半島の正常化に向けた国連の役割」など、様々な質問に答えていただきました。
Damodaranさんは、ゆっくりとした英語で生徒たちと対話をしてくれました。情熱、信念を持ちつつ、穏やかで温かな人柄が伝わってきました。こうした方が、世界の平和と安定に向け、取り組んでいることがよくわかりました。
「世界の地域紛争の背景には『憎み合うことを教えられている』という現状があり、それはほとんどの場合、正しい情報や理性をないがしろにしている。SNSで知り得たことが本当に真実かどうか確かめる姿勢をもってほしい」という生徒たちへのアドバイスも印象的でした。また、中1から高3まで、臆することなく英語で対話をする生徒たちの様子も感心しました。生徒たちにとってとても貴重な、そしてあっという間の2時間でした。
夜遅い時間に武蔵生と対話をしていただいたDamodaranさんと進行をしていただいた田中先生に、この場を借りて、御礼を述べたいと思います。
有り難うございました!