校長散歩

2024.05.13

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634 記念祭4 - 本郷和人 先生講演会-

本郷先生から武蔵生にいただいた言葉
4月27日、大講堂を会場に、東京大学史料編纂所の 本郷和人 教授(53期卒)の講演会が開催されました。記念祭の講演会は、生徒たちが自主的に講師を選び、招聘しています。
武蔵時代の思い出から、その後の歴史学者としての半生について簡単に触れられたあと、日本史を見る上での「6つの法則」について語られました。
具体的には、①日本は1つではない(1つで括ることはできない)、②歴史も1つではない(科学としての歴史、根拠を示して明らかにする歴史と同時に、物語としての歴史の重要性)、③官職ではなく人間が偉い(日本では職を退いても力を持つ)、④信じる者は救われるというわけではない(西洋的な対立概念ではなく、多様性を受け入れる。一神教の宗教ではなく道徳による社会秩序)、⑤日本の歴史はぬるい(異民族の侵略がないことによる危機意識の欠如)、⑥自由・平等・平和はどう生まれたかを説明することが課題、というようなお話の流れでした。
単なる日本史の史実ではなく、その背後にある「歴史哲学」に迫る極めて興味深いお話でした。本郷先生が、メディアから色々な場面でコメントを求められる理由もよくわかります。講演の最後に、武蔵生に対して「自分が楽しいと思うことを全うした人生を送ってください」、そして「武蔵時代の友だちを大切にしてください」という熱いメッセージを送ってくれました。卒業すると、色々な人生を歩んでいくけれど、みんなで集まっても、歩んだ人生などは関係なく、変わらない友情があるのが武蔵。本当にそのとおりだと思います。
笑いにあふれ、かつ歴史の本質をにこにこしながら語っていただいた1時間でした。
最後に校長室で、武蔵生への言葉を書いていただきました。
『和顔愛史』本郷先生らしい言葉でした!
忙しい中、ご講演をいただいた本郷先生にこの場を借りて、御礼を申し上げます。ありがとうございました。
※本郷先生は多数の著書を著されていますが、『歴史学者という病』(講談社現代新書)には、武蔵時代のことも含め、歴史に興味をもたれた半生と歴史を研究することの意味が書かれています。武蔵との関わりも含めて、興味を持たれた方にお薦めします。
※校長散歩も634号となりました。有難うございます。「楽しみにしている」という声が励みになります。今後ともよろしくお願いします。