校長散歩

2025.06.03

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784 武蔵大学寄付講座 -黒﨑賢一さん講演-

黒﨑さんの講演の様子
5月30日の17時15分から、大学1号館の教室を会場に、武蔵大学寄付講座が開催されました。アントレプレナーシップという言葉を聞いたことがあるでしょうか。起業家精神と日本語では訳されます。そのアントレプレナーシップを養うことを目的に、武蔵大学経済学部で開講されている講義で、篤志家からの寄付を踏まえて開講されていることから「寄付講座」の名前が使われています。この講義は高大連携科目にも指定されており、武蔵の高校生にも開講されていますが、スポット的な講演では、大学のご厚意により、中学生にも門戸を開いていただいています。
この日に講演を行ったのは、武蔵卒業生の黒﨑賢一さん(84期卒)。現在、「TOKIUM(トキウム)」という会社を起業し、従業員約400名を抱える会社の社長をしています。演題は「支出管理クラウドで時を生む」でした。
会社名のTOKIUMは「時を生む」ということから命名されたとのこと。無駄な時間を減らして、豊かな時間を作る。具体的には、人間の代わりにクラウドシステムやAIが仕事を行うことにより、「誰かのために調べ、考え、挑戦するための時間」を生み出したいという思いから事業を進めているとのことでした。当初は家計簿アプリから始め、さらに経費精算のクラウドサービスと進み、現在は経理AIエージェントを掲げ、AIを活用した業務の自動運転化を目指し事業を展開しようとしているそうです。AI活用の最前線を聞き、大いに勉強になりました。
講義は、起業をするにあたっての、子供時代や武蔵時代も含めた会社設立前のエピソードから始まり、どのような志を掲げたのか、どのような事業展開をしていったのかなど、あっという間の40分間でした。その後、大学生の皆さんとの活発な質疑応答が続きました。最後は「起業の心構え」について聞かれ、「不確実性の瞬間こそ最大のビジネスチャンス」と、受講者の背中を押してくれました。
講演後、改めて「武蔵はどんな場所でしたか」とお聞きしたところ、「武蔵は何でもやらせてくれ、認めてくれたところだった。成績は必ずしも良くなくて、保護者とともに三者面談をしたが、そのとき組主任の先生が、『黒﨑君は好きなこともあるし、仲間も多いから、いいんじゃないですか』と言ってくれて、救われたことを覚えている」と語ってくれました。まさに武蔵らしいエピソードだと思いました。
黒﨑さんの基盤にある好奇心はもとより、パッションとチャレンジ精神、さらには仲間を思うことなど利他の精神にあふれた素晴らしい講演でした。ますますの発展を期待しています。
今後も寄付講座は、引き続き定期的に夕方の時間帯に行われます。興味のある高中生もぜひ積極的に参加し、何かに挑戦しようという起業家精神を醸成してもらえたら良いと思います。