校長散歩

2025.06.17
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785 木曜会講演-澤井秀次郎さん(JAXA宇宙科学研究所副所長)-

武蔵高等学校同窓会が主催する「木曜会」という講演会があります。これは木曜日の夜に、多士済々である武蔵OBをお呼びして話を伺うというもの。6月12日、2025年度最初の「木曜会」が、ちよだプラットフォームスクエアで開催されました。これまで「木曜会」は神保町の学士会館で行われていましたが、老朽化による再開発のため休館しています。そこで、同窓生の支援もあり、学士会館近くの新会場で、このたび最初の「木曜会」が開催できる運びになりました。
今回の講演者はJAXA宇宙科学研究所の澤井秀次郎副所長(59期)。演題は「小型月着陸実証機SLIMによる月面着陸について」です。同窓会のご厚意により、今回も在校生や保護者にも門戸を開いていただきました。全77名の参加者のうち、中1から高3までの生徒が37名、保護者が5名。貴重な機会を得ることができました。また、オンライン参加者は70名ほどとのことでした。
小型月着陸実証機SLIMは、2023年9月7日に打ち上げられ、2024年1月20日に月面に着陸。①今までにない「小さな着陸機」の実現と、②「ピンポイント着陸」する技術の獲得という2点において、世界初の成果をあげました。
お話は、SLIMのプロジェクトが生まれた経緯から始まり、SLIM開発のプロセスやピンポイント着陸技術の解説、実際の着陸の際のトラブルへの対処、着陸後の地質調査などについて、再現CGも交えながらわかりやすく語っていただきました。
最後に澤井さんは、「SLIMの成果は『世界初』を主張することではなく、将来の人類に貢献することにある。全ての最新技術は陳腐化する運命にあり、このSLIMを契機にさらに新しい技術への挑戦が活性化し、SLIMの存在が忘れ去られる世の中へと進んでいくことを願う」とまとめられました。この言葉に、宇宙探査機開発の最前線に立ち続けられてきた「技術者の矜持」を感じました。
講演のあとは、在校生からの質問に多数お答えいただきました。さらにその後、会場を移しての懇親会でも、武蔵生に取り囲まれながら、丁寧に対応していただいている姿が印象的でした。
「木曜会」は、このように、現役生徒が卒業生と交流するとても良い機会になっています。懐深く、現役生の参加を認めていただいている同窓会の皆様に改めて感謝を申し上げます。
また、お忙しい中、素晴らしいお話をしていただいた澤井さんにも、この場を借りて御礼申し上げます。
有難うございました!