校長散歩

2022.09.12

  • #行事

448 夏の思い出9 -中3赤城特別授業「志賀直哉『焚火』の作品舞台を歩く(その2)」-

「焚火」が行われたであろう砂浜での記念撮影
覚満淵を過ぎると、白川小学校赤城山分校跡の広場で昼食。昼食後は、いよいよ『焚火』の舞台となった箇所を巡ります。
まずは、登場人物らが宿泊していた旧猪谷(いがや)旅館跡地。今や面影はなく何もない場所ですが、目の前には赤城山スキー場の看板。志賀直哉と交流があり『焚火』の登場人物のモデルでもある猪谷 六合雄(いがや くにお)は赤城をホームゲレンデの1つとし、息子の猪谷 千春らとスキーを楽しみました。この地で練習した千春氏は冬季オリンピック初の日本人メダリスト(1956年イタリアのコルチナ・ダンペッツォオリンピック回転銀メダリスト)になりました。その後、IOC委員としても活躍され今もご健在です。
次に到着したのは旧赤城神社。小説では、旧赤城神社を経由して大洞(だいどう)の砂浜から舟を出し、現在の赤城神社のある小鳥島裏の砂浜(当時は今と違い島と陸は繋がっていませんでした)に上陸しました。生徒達もそのルートを大沼の湖畔から辿りました。この神社裏の砂浜が、作中で皆が夜空の下で焚火を行った舞台です。
焚火をするために集めた白樺を見たり、「イモリの背のように黒かった」と描写された黒檜などの山々を眺めたりしながら、最後はゴールの青山寮に向かいました。
普段の山上学校とは違うけれど、まさに「文学散歩」いや散歩よりはかなりきつい「文学ウォーキング」でした。中3諸君は得難い経験をしたと思います。
改めて『焚火』を読んでみると、まざまざとその情景が浮かんでくるのではないでしょうか。
思い出に残る赤城特別授業でした。