校長散歩

2023.03.14

  • #卒業生

497 富岳に至る道-「木曜会」での 松岡 聡 さん(55期卒)の講演会-

木曜会のポスター
武蔵同窓会では「木曜会」という卒業生による講演会があります。木曜日の夜に実施することから、そう名付けられました。コロナ前までは学士会館で実施されていましたが、コロナ禍においてはオンラインで開催されてきました。
3月9日の「木曜会」はオンラインで開催。講師は55期卒の 松岡 聡 理化学研究所 計算科学研究センター長(東京工業大学 数理・計算科学系・特任教授兼任)でした。講演会は現役生徒諸君や武蔵保護者にも開かれ、この日は多くの同窓生に混じり、約100名の生徒、同じく約100名の保護者も申し込みをさせていただきました。
演題は「富岳に至る道」。講演では、パソコンづくりやゲームプログラミングに熱中していた高校時代・大学時代などご自分の体験もなぞらえながら、スーパーコンピュータ(スパコン)開発の歴史を分かりやすくお話していただきました。さらに「富岳」の名前のとおり、頂は高いけれども裾野が広いように、性能の高さに加え様々な分野で役立つ汎用性のあるスパコンの意義や活用分野についても詳しく紹介していただきました。
様々な質問にも丁寧に答えていただきました。「成功の秘訣」ということもよく聞かれるそうですが、「自分の好きなことをやっていたらこうなった」とのこと。武蔵時代は学校帰りに池袋のデパートのパソコン売り場に入り浸りだったそうです。 また、「研究者は失敗に強い人でなければならない」という言葉にも説得力がありました。さらに、今後の日本について「目先の対応ではなく、王道を行くことが日本の本当の競争力を高めていく」との話に頷かされました。
スパコン開発はかつて「2位ではダメなんですか」という言葉で話題となったことがあります。その後、開発が進められた富岳では、汎用性を求め、計算速度だけでなく様々なベンチマークで1位をとりました。興味を持たれた方は松岡さんの著書『スパコン富岳の挑戦-GAFAなき日本の戦い方-』(文春新書)を読まれるとよいと思います。
生徒たちの心に火をつけていただいたと思います。素晴らしい話をどうも有り難うございました!