校長散歩
2026.04.03
- #卒業生
880 世界が本当に求めるAI・データサイエンス教育とは?-武蔵OBスペシャル対談-

3月30日、視聴覚室を会場に「世界が本当に求めるAI・データサイエンス教育とは?」と題した、武蔵OBによるスペシャル対談が行われました。対談をしたのは、松原 仁 先生(京都橘大学教授・工学部長・情報学教育研究センター長、51期卒)と松岡 聡 先生(理化学研究所計算科学研究センター長、55期卒)のお二人です。松原先生には、校長散歩617でもご紹介したように、特別授業においても、子供の頃に鉄腕アトムに魅せられて、そのままAI(人工知能)の研究を進められ、人工知能学会会長まで勤められた経験から、「人間とAIが共にある社会」について語っていただいたことがあります。また、松岡先生にも、校長散歩497でご紹介したように、同窓会主催の木曜会で、パソコンづくりに熱中した武蔵時代から始まって、東京工業大学教授などを経て、日本が誇るスパコンである「富岳」の開発リーダーとして活躍されている経験や、スパコン開発の歴史について、「富岳に至る道」という演題で講演をしていただいたことがあります。
今回、AI・データサイエンスの最前線で活躍されているお二人のビッグネームの対談が実現したのには理由があります。現在、武蔵学園では、「データサイエンス研究所」という機関を設け、AI・データサイエンス関連の研究・教育に力を入れています。今回、そのことを発信するための広報冊子を作成することなり、お二人の対談がその巻頭ページを飾ることになりました。主催者である武蔵学園のはからいもあり、対談の様子を高中生も聞けることになりました。この日は聴講を希望した中1から高2まで30名ほどの生徒が視聴覚室に集まりました。
対談はお二人のこれまでの経歴紹介から始まり、生成AIについての現状認識、これからのAI・データサイエンス教育が果たす役割や育成すべき人材、さらに思い描く未来像へと話が進みました。あっという間の1時間でした。
お二人の話に共通していたのは、GPU(Graphics Processing Unit)の性能の飛躍的向上を踏まえ、AIがものすごいスピードで賢くなり続けていることは大前提とした現状認識です。デジタル・デバイドという言葉がかつて使われましたが、今やAI・デバイドという時代。心配なのは大人たちであって、若い生徒諸君は、AIへのリテラシーがあるのは当たり前。求められるのは、AIのメカニズムやAIができることを知ったうえで、「いかにAIを使いこなせる人間になるか」ということです。
松岡先生は「創発」というキーワードでこのことを語りました。AIによってイノベーションのサイクルが思い切り速くなった。それを使って自分の価値を上げ、最終的に社会の生産性の向上に貢献できるかどうかが問われている。「システムを使う側でなくて作る側になれ」と後輩たちにエールを送りました。
松原先生は、これまでAIロボットで家庭生活に入ってきているのは今のところ掃除機ぐらいだったけれど、これからは鉄腕アトムのようにAIに身体を持たせるロボティックスの時代に入る。どの分野でもAIが普通に使われる社会だからこそ、「自ら調べ自ら考え、そして自ら判断して責任をとっていくこと」がさらに大切になっていると語っていただきました。
お忙しいお二人の対談ということでしたが、質疑応答の時間もとっていただきました。生徒からは「どこまで深くAIを学べばよいのか」「AIをどう学べばよいものか」「スポーツAIはどうやったら使えるのか」などの実践的な質問が出され、これらにも丁寧に答えていただきました。
AI・データサイエンス分野研究で最先端を走るお二人との時間は、参加した武蔵生にとって、それぞれの視点を上げる、刺激に満ちた時間になったと思います。
お忙しい中、母校に来てくださったお二人の先生にはこの場をお借りして、御礼申しあげます。有難うございました!
※対談の様子には動画撮影が入りました。編集のうえ、後日、HP上で公開される予定です。