校長散歩

2024.02.28

  • #授業

608 武蔵の授業24 -高2英語-

ワークシートに取り組む生徒たち
2月21日、高2の英語の授業を見学しました。武蔵ではコロナ禍がきっかけに、現在1人1台のタブレットを導入しています。英語の授業では、タブレットに入れた ELSA Speak という発音矯正アプリと、MetaMoJi という生徒の学習状況をリアルタイムに把握できる授業支援ツールを、効果的に活用しています。校長散歩573では、それを活用した中1英語の授業をご紹介しましたが、今日は高2の授業を見学しました。
本時はまず、英作文クイズから始まりました。先生のタブレットから英作文の課題が一斉に配信され、生徒たちは各々取り組みます。時間が来ると一斉に回収されるので、生徒たちは緊張感をもって取り組んでいました。
次が ELSA Time と称して、タブレットに課題文を吹き込んで、自分の発音を矯正します。正しい発音だと高い点数が出るので、ゲーム感覚で発音を矯正することができます。
続いて、リーディングの時間。この日はネットに広がるフェイク情報について、なぜフェイクな情報を人は求めるのか、そしてなぜそれが拡散されるのか。古代ローマにも同じ構造はあったという人間の心理を踏まえつつ、現在のネット社会で陥りやすい罠について触れた興味深い話でした。生徒たちはそれを読んだ後、配信されたワークシートに答えます。生徒たちのワークシートの取り組み状況は先生のパソコンにも即座に表示されますので、それを踏まえて生徒たちとリアルタイムでの双方向のやり取りが可能になります。生徒は気が抜けませんが、そこはさすがに武蔵生。先生とのコミュニケーションが活発に行われる楽しい空間になっていました。
黒田 龍之助 さんが書いた「ロシア語だけの青春」(ちくま文庫)という本があります。これはかつて代々木にあった「ミール・ロシア語研究所」という小さな語学学校に通った若者が、いかにロシア語を上達させていったかという素晴らしいお話です。その学校はとても厳しい暗唱と発音矯正をしていましたが、著者は当時を振り返って、「暗唱が外国語教育に効果的なのは自明の理なのに、それが実践できていないのは、生徒も教師も面倒くさがるからではないか。生徒の暗唱に付き合うには、教師にも覚悟が必要だし、生徒の数を思い切り限定しなければならない」というようなことを書いています。
ELSA Speak に向かって課題文を吹き込み、発音を矯正している生徒や、個別のワークシートに熱心に取り組んでいる生徒たちを見て、時代に応じて、語学教育は進化しているなとつくづく感じました。
武蔵生の将来にとって語学力は必須だと思います。ぜひ、有効なツールを活用して、それぞれの力を伸ばしていってほしいと思います。