校長散歩

2026.09.01

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921 武蔵百年の森のプロジェクト・宮城県鳴子現地視察報告

エコラの森の針広混合林
エコラの森の針広混合林
校長散歩846でご紹介したように、埼玉県毛呂山町にある武蔵の学校山林を拠点に「武蔵百年の森プロジェクト」が昨年度始まりました。学校山林を管理しつつ、間伐で生まれた木材などを余すことなく利活用し、生徒とともに、循環型社会の構築に取り組もうという壮大なプロジェクトです。このプロジェクトの推進にあたっては、宮城県鳴子を拠点に活動されているNPO法人しんりんの大場隆博理事長に顧問をお願いし、森林管理についてのご支援をいただいています。
大場理事長におかれては、学校山林の間伐・伐倒(校長散歩847)だけでなく、林業の現状や課題についての生徒への講義(校長散歩793)、さらにプロジェクト推進に向けた生徒との対話(校長散歩794)など、広範囲にわたり、ご支援をいただいているところです。そうした中、8月21日から22日にかけて、プロジェクトを進めている武蔵学園の職員とともに宮城県鳴子に出向き、NPO法人しんりんが取り組んでいる「地域循環共生圏」の実際の様子について、大場理事長に案内をしていただきながら、視察をする機会を得ました。
NPO法人しんりんでは森林整備を行いつつ、株式会社KURIKOMAと一緒に、製材、加工、さらに家づくりまで一環した体制で取り組んでいます。製材工場では、校長散歩847でご紹介したように、昨年12月に学校山林で伐倒した丸太が保管されていました。その丸太の利活用について、生徒からの提案も踏まえ、次の記念祭の門に利用したり、掲示板・パーテーションに活用したりするという用途が決まったために、このたび製材することとなりました。その場面を目の前で見ることができ、感動しました。また、製材により生まれた端材からは、記念祭で販売するキーホルダーを作成したりするとのことです。さらに工程で発生したおが屑は木質ペレットにしてエネルギー源にするなど、100%の利活用率を目指した循環サイクルを描くとともに、CO2削減に貢献しようという試みです。
大場さんの案内のもと、その後、加工工場に伺いました。そこでは、製材工場から送られた木材に、材質や環境にやさしい「低温乾燥」を施して建築材に加工していました。また、椅子などを製作したり、木質ペレットを製造したりするなど、伐採した木材を余すことなく利用する一連の工程を見学させていただきました。
そもそもNPO法人しんりんが生まれたのは、かつてリゾート開発が計画されていた鳴子の地で、その計画がとん挫したことがきっかけでした。その計画地の260haの森林が、負債を補うために不法乱伐され、そのまま放置された状況を目のあたりにする中で、NPO法人を立ち上げることにより、森林の再生に向けた管理を始めたとのことです。その状況を知るために、翌日は、「エコラの森」と名付けられたNPO法人しんりんが管理している森林を訪れました。森全体のバランスを考えながら針葉樹を計画的に伐採しつつ、広葉樹の植林を行いながら、治山対策の効果が高い「針広混合林」を育てている様子もよく理解できました。例えば、広葉樹としては、鳴子こけしの材料となるミズキを植えていました。この「エコラの森」は、環境教育の場にもなっているとのことで、その取り組みを主体的に行っている地元の鳴子温泉もりたびの会の皆様にも、今回の視察では大変お世話になりました。
今回私たちが見学したコースは、2023年9月15日の副校長散歩でもご紹介したように、一昨年度から夏休みに行っている生徒の東北ツアーの一コースとしても設定されています。
武蔵の学校山林の植樹は1940年に始まりました。2040年が「百年」になります。その「百年」の時点を当面目指しつつ、持続可能な森林管理を進めるとともに、学校山林で間伐した木材を武蔵での教育活動に余すことなく活用した「循環型の武蔵モデル」ができるとよいと思います。武蔵生がそのことに主体的にかかわり体感することは、持続可能な社会づくりを進めるうえで、大きな力になることを期待しています。
お忙しい中、ご案内いただいた大場さんをはじめNPO法人しんりん、さらに鳴子温泉もりたびの会の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
有難うございました!
  • 学校山林で伐倒した木との再会
    学校山林で伐倒した木との再会
  • 木材から加工された椅子
    木材から加工された椅子
武蔵学校山林から運ばれた丸太を製材する様子(動画)