提携校との交換留学

提携校との交換留学 — 国外研修制度

 武蔵の三理想を体現するものとして、第二次世界大戦前には「外遊制度」がありました。戦後の貧困や混乱から一時消滅していましたが、その精神は1988年に「国外研修制度」として復活し、進化しました。中学3年から始まる第二外国語を学ぶ生徒たちに、実際に現地におもむき、生きた体験をしてもらう機会を提供しようというのが制度の発端で、「自ら調べ自ら考える力」を海外で実践する機会でもあります。現在、国外研修制度では6か国8都市の提携校と生徒の派遣交換を行い、相互交流をしています。

武蔵で学ぶ外国語と交換留学・交流先(2021年度現在)

ドイツ語
ドイツ:ベルリン (Felix-Mendelssohn-Bartholdy-Gymnasium)、ミュンヘン (Maximiliansgymnasium)
オーストリア:ウィーン (Theresianum Gymnasium)
フランス語
フランス:リヨン (Lycée Ombrosa)、ラ・ロシェル (Lycée Saint-Exupery)
中国語
中国:北京 (中国人民大学附属中学)
韓国朝鮮語
韓国:ソウル (漢栄外国語高校)
英語
英国:モーヴァン (Malvern College)

これまでに約400人にのぼる派遣生

派遣生は(英国を除き)第二外国語を上級まで学んだ生徒の中から選抜され、その言語が話される国に派遣されて、ホームステイや寮生活をしながら現地の高校に通います。派遣期間は高校2年末の春休みから高校3年始めにかけての5〜8週間です。派遣生には寄付を財源とした国外研修奨学金が支給(渡航費に相当)され、現地での授業料も不要です。朝晩の食事も派遣先で提供されます。双方の担当教員同士で連絡を取り合い、問題が起きたときにも対応できる体制をとっています。また世界各地で活躍する武蔵のOBが、現地で派遣生に助言をくれるケースもよくあります。この制度のもとで、毎年学年の1割程度の派遣生が選ばれ、これまでに約400人の生徒たちが海外で様々な経験を積んできました。

国外研修は語学研修旅行ではありません。外国で生活するわけですから語学力が伸びるのは当然です。使う言語以上に、自分の目で見ること、先入観なくいろいろなことを感じることが大切です。それぞれの国にはそれぞれの歴史、文化、考え方があり、そこで暮らす同世代との交流を通して、その違いを肌身で体感できるのが国外研修の大きな意義でもあります。

安心できる自分の領域(家庭、学校、国)から飛び出し、異国で当惑と発見の繰り返しとなる研修を終えて帰国する頃には、生徒の中で確固たる自信とともに常識や価値観の変化(破壊)が生まれます。国外研修制度が始まってから30年以上が経ちましたが、現在、国内外でさまざまな職業に就く過去の派遣生たちは、この研修を「いまの自分にとって大変価値のある経験だった」と異口同音に振り返っています。

受け入れる留学生との交流

また、国外研修制度と戦前の外遊制度との大きな違いは交換留学制度であるという点です。派遣と同様に、提携校からの留学生の受け入れもこの制度の重要な柱です。提携校から毎年男女を問わず10数名を受け入れ、留学生は本校生徒の家庭にホームステイをしながら武蔵の通常授業に参加しています。女子生徒が来ることもあります。ホームステイの受け入れは、全校生徒を対象に募集するので中学生のご家庭にお願いすることもあります。

提携校から留学生が来ている時期には、第二外国語の授業とも連携しながら様々な交流行事を行っています。ドイツ、フランス、オーストリアからの留学生とは例年、夏休み終盤に学園の赤城青山寮で3泊4日の国際交流合宿を行っています。また、中国、韓国からの留学生とはそれぞれ水餃子やチゲ鍋などを作り、歓談する交流会も行っています。

ステイ先の家庭、留学生を受け入れる教室の仲間にとっても、日常のやりとりから合宿、交流会などの特別企画まで、様々な場面で学び合い、刺激を受けることができます。提携校へ派遣される生徒ばかりでなく、本校の多くの生徒が留学生との交流から貴重な経験を得てほしいと願っています。

多感な十代における海外での生活や同年代の留学生との交流を通して、真にグローバルな視野と力を備えた人間が育っていきます。

研修成果の共有

 帰国した派遣生は写真展と研修報告会を行い、現地での体験を広く在校生に還元します。また、派遣生と武蔵への留学生の双方による研修報告文を収録した「生徒国外研修年報」を毎年発行し、全校生徒に配布しています。報告会と年報の報告文からは、単なる海外文化や研修校の紹介にとどまらない、派遣生自身の大きな成長が伝わってきます。

研修成果の還元と共有は研修生にとって最も大切な課題です。研修で得た体験が種だとすれば、この振り返りと発表の作業は最初の水やりであり、卒業後に芽を出し、花を咲かせるための第一歩となります。また在校生にとっても、将来に向けての動機付けであると同時に、世界とつながる意識を共有できる契機であり、大きな刺激となっています。